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2005年9月20日 (火)

今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書と情報法

既に、新聞報道されていましたが、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書が公表されました。

リンク: 厚生労働省:「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書.

 今後、この報告を受け、労働政策審議会労働条件分科会において、具体的な法案作りに向け議論がなされ、2007年通常国会で労働契約法案が提出されるようです。
 

 「情報法」を取り扱うblogなのに、なぜ労働法なのかということなのですが、実は、いろいろなところで、労働法がからんできます。

 労働契約法制に関する報告書でも、「個人情報保護義務」という項目として取り上げられています(報告書53頁)。

「労働者の個人情報の保護については、既に個人情報の保護に関する法律が施行されていることから、使用者は、同法に基づき労働者の個人情報の保護を図る必要がある。しかし、同法は、個人情報を5000 件以上保有する事業者にしか適用されない。
 情報化の進展の中で、労働者の個人情報の保護は重要な課題であることから、どのような規模の企業も、労働者の同意がある場合や法令に基づく場合等の正当な事由がある場合を除き、労働者の個人情報を目的外に使用してはならないことや個人情報を第三者に提供してはならないこと、さらに、不正の手段により労働者の個人情報を取得してはならないこと等労働者の個人情報を適正に管理しなければならないことを、法律で明らかにすることが適当である。
 また、このような規定を設ける場合には、労働者が使用者にその義務の履行(目的外での使用の差止め等)を直接請求できることとすることが適当である。
 このほか、労働者が使用者に対して自らの人事に関する情報等の開示を求めることがあり得るが、これに対する開示請求を認めた場合には中小零細企業が対応能力を有するかという問題もあることから、慎重に検討することが適当である。」

 行政取締法規による個人情報保護ではなく、契約法理の中で個人情報保護を図ることを検討しているようです。差し止め等直接請求を認める方向のようですから、個人情報保護法による保護よりも一歩踏み込んでいるのではないでしょうか(このあたりは、個人情報保護法の規定に裁判規範性が認められるのかにもよります)。
 ただ、やはり開示請求については議論が分かれているのか「慎重に検討」と言うことになっています。

 今後の立法化に向けての議論にも注目したいと思います。 

参考文献

労働政策研究・研修機構
「諸外国の労働契約法制に関する調査研究」報告書
まだ、サマリーしか読んでいませんが、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカの労働法制の比較が行われており、参考になります。

情報と労働法
日本労働法学会誌105号
 労働契約法制とは直接関係ありませんが、労働法と情報法についての議論、論考は少ないので、参考になります。ただ、取締法規としての個人情報保護法を労働法にどう取り込むかについては、あまり突っ込んだ検討がされていません。今後の検討課題ということでしょうか。

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コメント

非正規雇用の論議より“最低賃金”の論議が格差社会を是正する

◆問題は「賃金格差」
非正規雇用対策に注目が集まってしまい、“格差”の論議の影が薄くなっています。しかし、一番重要な問題は“賃金格差”なのです。同じように仕事をして、賃金に格差があること、これ自体が最大の問題なのです。わが国ではこれまでの終身雇用制と年功序列が、「同一作業、同一賃金」の問題を複雑にしました。この道は、先が長く険しい道のりです。

◆今こそ「最低賃金見直し」論議を

 しかし、正規社員も非正規社員も同様に仕事をして格差が是正されて行けば、雇用の流動化はスムーズに行え、そして日本の新しい雇用形態となっていくものと考えます。そこで、この不況時にこそ「最低賃金の見直し」の論議と実施をすべきです。パートタイムやアルバイトの多い業界からの反発が予想されますが、それこそ雇用対策の助成金を活用し、3年~5年をかけて補助金額を逓減していけばソフトランディングも可能です。そして、これらが曳いては、わが国の内需拡大を早める最適な方策と考えます。
詳細は下記をご覧下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年6月 9日 (火) 09時04分

◆厚生労働省 「専ら(インハウス)派遣」の対応と生き残り

「専ら派遣」は、厚生労働省指針で20%以上の外部取引が必達となります。これは恐らく最初の指針数値であり、将来的には50%以上を満たす必要があるでしょう。その為、数社の金融機関系列の派遣子会社は廃止へと舵を切っている状況にあります。
この問題はスタートしたばかりであり、今後は「請負化(委託化)」か「直接雇用」に迫られます。あるいは、営業力を強化して外販率の拡大と、残されている道は決まっています。その上、一朝一夕に解決できる問題ではないので、今からシミュレーションを含め、対応を急ぐべきでしょう。求められているのはインハウスではなく、人材ビジネスとしての独立事業者の姿です。
詳細は下記のブログをご覧下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/



投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年6月 9日 (火) 09時05分

厚生労働省 日々紹介ビジネス容認の認識を疑う

~“日々紹介”は合法でも「労働者保護」の観点からは最悪!~

◆労働者を無視した“日々紹介”

日雇い派遣は法律の隙間を縫って法律上は合法とされていますが、社会通念上(企業モラル)認められるビジネスではありません。なぜなら、労働者保護の観点からすると、労働者にとってリスクが大きいからです。これは、例えば、非合法な会社に日々のアルバイトを紹介された場合を想定してみてください。給与や仕事の内容でトラブルになった時に、一体誰がどのように労働者を保護するのでしょうか。どこが、どの様にセーフティネットになるのでしょうか。これが拡大すれば、日雇い派遣を超える社会問題となるのは明らかです。まさに、脱法ビジネス行為にほかありません。

◆リスクが大きい「雇用主(使用者)」

この日々紹介は雇用主(使用者)の直接雇用の為、「雇用・安全・衛生」は全て雇用主の責任となります。雇用主(使用者)にリスクだけが丸投げされたビジネスです。

◆リスクが無いのは「紹介会社」

全文はこちらから
★人事総務部ブログ
  http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部ブログ | 2009年6月16日 (火) 22時31分

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 こんにちは、北岡弁護士のブログでしりました。こういう報告書があったのですね。 [続きを読む]

受信: 2005年9月21日 (水) 04時23分

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