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2005年11月 2日 (水)

派遣社員と誓約書

個人情報保護法、営業秘密の保護に関連して、派遣先会社が派遣社員から誓約書をとっていいのかと言う問題を取り上げてきましたが、2005年10月31日付日本経済新聞(夕刊)に、「法令遵守 戸惑う派遣社員」と題し、労働法に抵触するような秘密保持誓約書の提出に関するする記事が掲載されていました。

派遣先会社が派遣社員から、誓約書をとることについては、営業秘密管理指針(改訂版)において、

「派遣先企業と派遣従業者とが直接秘密保持契約を締結することが直ちに法律違反になるわけではないが、労働者派遣事業制度の趣旨からは、派遣先は、派遣従業者と直接秘密保持契約を締結するよりもむしろ、雇用主である派遣元事業主との間で秘密保持契約を締結し、派遣元事業主が派遣先に対し派遣従業者による秘密保持に関する責任を負うこととすることが望ましいものである。」

と追加されたことをとりあげました。日経の記事でも厚生労働省需給調整事業課のコメントとして

派遣先と派遣社員との関係が「雇用関係にならない誓約書なら労働法令に反しない」と紹介されています(これ自体は、上記営業秘密管理指針と同じ考えです)。

そして、記事ではさらに「雇用関係にならない」という意味は「①誓約を拒否した派遣社員を別の社員と入れ替える懲戒処分をとったり②情報漏れを起こせば解雇する(契約を打ち切る)など懲戒を規定した誓約書」をとることは、派遣元と派遣先の二重雇用状態になり、職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)に抵触するおそれがあると指摘していて、誓約書の条項を検討する上で参考になります。

なお、同記事では、損害賠償規定に関し、中野麻美弁護士のコメントとして「派遣元に請求することはありえても、労働契約のない派遣社員に賠償を約束させるのは論理矛盾であり得ない。派遣社員が不法行為の賠償をする相手は派遣元だろう」と指摘されています。

 確かに、契約に基づき損害賠償請求ができるのは、派遣元である派遣会社かもしれませんが、不法行為にもとづく損害賠償請求であれば、派遣社員に対しても請求できるはずで、このあたり趣旨が不明確な気がします。

 日経の記事では、他にもいろいろふれられており興味深いのですが、派遣会社(派遣元)側でも、派遣社員から誓約書をとらせないように取り組みを行っているようであり、派遣会社側でもプライバシーマークの取得や、情報管理の重要性について個別の説明を行っていることが紹介されていますが、あるべき姿だろうと思います。

 いずれにせよ、個人情報保護法だけが法律ではないので、注意が必要です(罰則という意味では、個人情報保護法は間接罰であるのに対し、職業安定法違反は直接罰なのでより厳しいのですが・・・)。

本blogの関連リンク
「営業秘密管理指針改訂版」の公表
パブリックコメント「営業秘密管理指針改訂版(案)」(その2)

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コメント

「派遣切り」・「2009年問題」・「雇用対策」は何処へ
◆急務は「現在の雇用」
政治(与野党共)もマスコミもジャーナリストも、皆大変だと言葉だけの心配に留まっているように思われます。と言うのは、「労働者派遣法改正案」は見直し審議待ちの足踏み状態で進展しておらず、その先が見えないため、「派遣切り」に歯止めがかかりません。「派遣切り」を加速させている要因は、政府及び厚生労働省の不十分な対応にあるということを理解しているのか疑いたくなります。いったい「雇用対策」はどこへ行ってしまったのでしょうか?とくに製造派遣の「抵触日(3月1日)」が過ぎてしまった現在のわが国において、最重要視されるべき課題はまさに「雇用対策」です。「雇用対策」ができれば、わが国の景気の底支えは可能です。雇用が底支えできれば、将来に対する不安も緩和されます。何といっても一番は「現在の雇用」です。数年先の雇用対策では意味がありません。
◆救済手立ては「雇用創出プラン(福祉雇用)」!
詳細は下記のブログをご参照下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年3月12日 (木) 09時49分

雇用創出プラン(福祉雇用)の提言
◆本当に「雇用のミスマッチ」なのか
世界同時不況による異常な雇用危機に対し、地方自治体が実施しているのは2~3ヶ月間の臨時短期雇用のため、期限到来で終了してしまいます。次の一手をどのように考えているのでしょうか。実際のところ、政府や厚生労働省は掛け声だけで地方自治体に一任(丸投げ)です。マスコミやエコノミストは、人材が不足している「介護・農業・林業」分野に人材をシフトすべきと、ひたすら「雇用のミスマッチ」を訴えています。しかし、この雇用危機に対して、一体誰が真剣に考えているのか疑わざるを得ず、製造業に従事している非正規労働者の生活を真剣に心配しているとは思えません。
雇用創出プランは下記のブログにてご確認下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年3月12日 (木) 09時50分

【非正規労働者の雇用安定化の緊急提言】

◆「09年問題」は終わっていない

緊急を要する雇用安定化に臨み、至急解決しなければならない問題は、派遣(とくに製造派遣)の「2009年問題」です。これは3年以上の継続派遣を禁止した労働者派遣法に係る問題です。というのも、労働者派遣法はこれまでの規制緩和で、とりわけ製造派遣の「抵触日」が集中した経緯はありましたが、「2009年問題」が終わった訳では毛頭なく、電機メーカーやIT関連企業等の「抵触日」のピークが今春から今秋にかけて到来することに起因します。その対象となる派遣社員は現在約40万人以上存在し、少なくともその半数である約20万人の「抵触日」が半年以内に順次到来し、派遣契約の終期を迎えることになるからです。

◆直接雇用移行の余力は無い
◆「09年問題」の緊急非難で雇用安定を

全国の各地方自治体は一致団結し、緊急調査を実施して、政府及び厚生労働省に対して「2009年問題」の停止を“今こそ実行すべき!”です。

全文は下記のブログにてご確認下さい

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年3月20日 (金) 21時35分

厚生労働省による史上最大の“派遣切り”

◆厚生労働省の横暴か暴挙か・・

 厚生労働省が派遣会社の許可制度見直しを決めました(3/26)。労働者派遣法改正案が未成立の現段階で、何の議論も無しに人材派遣会社を廃業へ追い込む暴挙というほかありません。この制度見直しが今秋から実施されたなら、派遣労働者は雇用を奪取され、今後2年以内に約200万人以上の「派遣切り」が現実のものとなります。そして、人材派遣会社のほぼ90%は廃業に追いやられるという非常事態を招くことになるのです。

◆人材派遣会社を潰すつもりか

◆廃業に追い込まれる人材派遣会社

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部 | 2009年4月18日 (土) 11時54分

厚生労働省による史上最大の“派遣切り”

◆厚生労働省の横暴か暴挙か・・

 厚生労働省が派遣会社の許可制度見直しを決めました(3/26)。労働者派遣法改正案が未成立の現段階で、何の議論も無しに人材派遣会社を廃業へ追い込む暴挙というほかありません。この制度見直しが今秋から実施されたなら、派遣労働者は雇用を奪取され、今後2年以内に約200万人以上の「派遣切り」が現実のものとなります。そして、人材派遣会社のほぼ90%は廃業に追いやられるという非常事態を招くことになるのです。

◆人材派遣会社を潰すつもりか

◆廃業に追い込まれる人材派遣会社

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年5月22日 (金) 08時01分

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