JALがANAに対する特許訴訟の請求を放棄
チケットレスサービスに関する特許権を侵害されたとして、JALがANAを相手に損害賠償などを請求していた訴訟で、JALは2005年12月13日に請求を放棄したと報道されています。
この事件は、ANAが運営している法人向け国内線予約・発券サービスが、JALの保有しているビジネスモデル特許(発明の名称「ID情報利用の搭乗券発行システム」、特許登録番号:3179409号)を侵害するとして、ANAを2004年7月23日に東京地裁に提訴されたものです(拙著SEのための法律入門17頁以下参照)。
新聞報道によれば、来年1月に判決を予定していたらしいのですが、ANA側が申し立てた特許無効審判でANA側の主張を認める判断を下したことから、JALは訴訟の取り下げを申したてたが、ANA側が応じなかったため、請求を放棄したようです(訴えの取り下げは、一定程度訴訟が進行すると訴えの相手方(この場合ANA)が同意しないと認められません。訴えられた側が判決を受ける利益を保護するためです。請求の放棄は、原告が自らの請求に理由のないことを認めるもので、敗訴判決と同一の効力が生じます(被告からすれば勝訴判決)ので、被告の同意なしに行うことができます)。
この訴訟は、報道で大きく取り上げられたので、結構判決を楽しみにしていたので少し残念です。無効審判の判断を見ていないので何ともいえませんが、ビジネスモデル特許というのは、仮に成立しても射程範囲はやはり狭いということかもしれません。
2005年12月22日追記
本件に関するANAのプレスリリース
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