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2006年3月 7日 (火)

委託先からの個人情報流出の公表

インターネット版の朝日新聞(2006年3月4日付)で、産業再生機構が、「業務を委託した経営コンサルタント会社から再生支援に関する企業の個人情報が流出したにもかかわらず、発生から半年余り事実を公表していなかった」と報道されています。

 記事の基本的な論調としては、公表しなかったことに問題があるという方向性でかかれていますが、すべての事例で「公表」しなければならないと考えているのであれば問題でしょう。

 まず、個人情報の流出があった場合に、その事実を公表しなければならないということは、個人情報保護法自体には定められておらず、法律で定められた義務ではありません。

 流出事故があった場合に公表するように求めているのは、各省庁の出しているガイドラインの中です。また、ガイドラインにおいても、公表が必須であるということではないはずです。

 流出事故があったことを広く公表することは、犯人にデータの重要性を教えることになりますので、かえって個人情報を危険にさらすことになりかねません。

 記事からはどのような内容が含まれているのかよくわからないのですが、本件でも、産業再生機構の案件の情報という特殊性があるのであり、個人情報でなくとも、再生機構に話が持ち込まれている会社の情報というだけでも秘密にしておく必要があるということも考えられます。

 流出した事実を隠そうとしているのであれば、問題だとおもいますが、この場合、監督官庁への報告、関係者への通知は行っているということですから、事実を隠蔽したということではないと思います(マスコミに知らせないのがけしからんというのでは、話にならないでしょう)。

個人情報だけが唯一、保護すべき価値のあるものではなく、他の価値とどう調和させるのかの視点を持たないといけないでしょう。また、公表がかえって個人情報を危うくする可能性があることを考え合わせると、流出事故→公表と機械的に考えることは止めて欲しいです(公表することが好ましい事案(二次被害が生じるおそれのある場合)というのもありますので、一切公表する必要がないという意味ではありません。ケースバイケースで考えるべきだということです)。

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